2012年を振り返っておこうと思う、思いつくままに…

2012年観た映画        397作品
制作した映像の数(監督)   14作品
関わった映像の数(監督以外)約50作品
読書数             約80作品

比べる相手がいないので、多い少ないとは言えないけれど、
量が質に変わりつつあると思う。

最も大事な力である見る力、聞く力を積み重ねた1年だと思う。
何が悪い、何が良いということに関して、具体的に自分の言葉で言えるようになってきた。
とはいえ、気づいたら誰かの言葉を借りていたということの方がまだまだ多いので、
もっと精進したいと思う。

自分が扱う言葉で自分を作ることになるので、
言葉に気をつけているのだけれども、難しい。

それでいうとtwitter,facebook,lineが怖い。
話言葉が文字になっていて、違和感を感じなくなるのが怖い。
自分を作る言葉で、知らず知らずのうちに壊していることになるかもしれない。
せめて、3年後の自分が読んでも恥ずかしくないような文になるよう心がけたい。

使う言葉を気をつける努力は毎日続けていこうと思う。

伊坂幸太郎の「砂漠」という作品で、
北村と西嶋が三島由紀夫の自決について以下のように話している。
(台詞のみ抜粋)

西嶋 「俺はその時の映像を見たことがないけど、ざわざわしていたのは確かでね、前に、その時の演説を読んだけど、静かにしろ、聞け、聞け、って言ってるのが残ってましたよ」
北村 「それは切ないな」
西嶋 「誰か、俺と一緒に立ち上がろうって奴はいないのか!そう呼びかけてね、でも、誰も立ち上がらないですよ」
北村 「寂しいな」
西嶋 「ああ、寂しいですよ。孤独の極地ですよ」
北村 「でもさ、彼だって、反応がないのは覚悟してたんだろ。まさか本気で、自衛隊員が立ち上がると思ってたのかな」
西嶋 「俺は、たぶん最後まで信じてたと思うんですよ。自分が本気を出して行動すれば、もしかすると、世界は動くんじゃないかとね、期待していたと思うんですよ」
北村 「でも、駄目だった」
西嶋 「『やっぱ駄目かあ』とは思ったんじゃないですか。で、自決ですよ」
北村 「西嶋には、三島由紀夫の気持ちが分かるんだ?」
西嶋 「そこまでして何かを伝えようとした、という事実が衝撃なんですよ。しかも伝わらなかったんだから衝撃の二乗ですよ。別に俺は、あの事件に詳しいわけじゃないですけどね、きっと、後で、利口ぶった学者や文化人がね、あれは、演出された自決だった、とか、ナルシストの天才がおかしくなっただけ、とかね、言い捨てたに違いないんですよ。でもね、もっと驚かないといけないのはね、一人の人間が、本気で伝えたいことも伝わらない、っていうこの事実ですよ。三島由紀夫を、馬鹿、と一刀両断で切り捨てた奴らもね、心のどこかでは、自分が本気を出せば、言いたい事ことが伝わるんだ、と思ってるはずですよ。絶対に。インターネットで意見を発信している人々もね、大新聞で偉そうな記事を書いてる人だって、テレビ番組を作っている人や小説家だってね、やろうと思えば、本心が届くと過信しているんですよ。今は、本気をだしていないだけで、その気になれば、理解を得られるはずだってね。でもね、三島由紀夫に無理だったのに、腹を切る覚悟でも声が届かないのに、あんなところで拡声器で叫んでも、難しいんですよ」

《この小説は面白いのでぜひ本編をお読みください》

これはフィクションであるけれども、
中身はフィクションではないと思う。
伝えようと思ったときに伝えられないのははがゆい。

伝えるための一歩目は言葉だと思うので、
まずは言葉を磨いていきたい。
そして、本気で自分の想いを伝えようと思ったときに、
伝えられる人でありたい。

2013年は力をつけるだけではなく、
結果に結びつけていきたい。